ストーリーの行方
小説家になりたくて、数年間投稿を繰り返してきた。
今年から、投稿にあたり、ジェンダー平等への配慮がなされているかの審査が義務付けられるようになった。
そして僕の小説は投稿が認められなくなった。ジェンダーへの配慮が不十分との理由で、投稿まで進むことができないのだ。
確かに同じパターンのストーリーばかり書いていたのかもしれない。目立たない男性が、好きになった女性と付き合うため、ひたすら努力するという話ばかりを、バリエーションを変えながら書いていた。
このようなストーリーは、男性中心的な考えに根付いている。男性は努力すれば女性を獲得できるという考えに根付いており、女性の意思は軽んじられ、女性を「モノ」扱いしている。また、女性は押し並べて美しく、美醜により女性の価値が決まるという考え方が根底にある。といった評価が下されている。
かくして僕は行き詰まっている。ストーリーが浮かばないのだ。
何かアイデアに繋がるものはないかと思い、新しく始まるドラマを見ることにした。当然ドラマもジェンダー平等に配慮しなければならない。このため新しい試みがされたという。脚本を書いた後、配役はくじ引きで決めたそうだ。性別、年齢、容姿や体型にばらつきが無いよう役者を選んだうえで、その全ての役者がくじを引くのだ。もちろん主役も例外でない。
配役はまだ発表されていない。実際に見るまでわからないようになっている。
ラブストーリーだということは分かっている。当然ながら、男女の恋になるかはまだわからない。
さて、どのような話となるのだろう。