せんみつ

物語を思いついたら書いていきます。

生命の優先度

生命の優先順位の点数化が試験的に始まった。

パンデミックや災害のため、医師が全ての重症患者を平等に扱うことができない場面が増えている。このとき、どちらの生命を優先するか、医師には厳しい判断が求められていた。

どちらがより重症か、どちらが助かる見込みが高いのかが判断基準とされていたが、様々な災害が増えるに従い、それだけで判断できないことも増えてきた。同じような症状で、どちらの生命を優先するか判断を求められるケースも増えてきており、このようなときに医師に判断を任せるのは酷だという意見も多くなってきた。

このため、いざという事態で迷わず済むよう、病状が同様の場合、どちらの生命を優先するかをあらかじめ点数化するという実証実験が始まったのだ。

何を優先するかは様々な議論があった。今回の実証実験では、高い技術・技能を持つ人物、新規性の高い研究成果を生み出す可能性が高い人物が高い点数となっているようだ。

人間国宝のように高い技術・技能を持ち、かつその技術・技能を受け継ぐ人物がまだ育成されていないような人。世界に大きな影響を与えるような、将来ノーベル賞を受賞するような研究開発に取り組み、成果を挙げられそうな人。このような、失われると大きな痛手となるような人物の点数が最高得点となっている。

生命の優先順位をつけるものであるため、非常にシビアなところもあり、いくら過去の実績が偉大でも、それだけでは評価されていないようであった。過去は過去。現時点、そして将来において、失うと痛手が大きいかどうかが評点のポイントとなっているようだ。

ちなみに、政治家の点数は極めて低かった。理由は、代わりになる人はいくらでもいるし、代わりになりたがっている人もいくらでもいるからという理由のようだ。